さて、前回の記事にも上げましたが、↓ こちらの表。

これは文化庁のサイトにある『類型「留学」の審査項目について』です。
この表を見ると、留学生を扱う法務省告示校の日本語教師は『全て、或いは、一部』を公認日本語教師にすること、みたいな方向で向かっているようです。まぁ、これ自体は後々いろいろと決まってくると思うので、ここで注目したいのは表の右端の方『新しい審査項目』ってところです。

【情報公表】や【基本組織・目的】は経営者が頭を抱えれば良いことなので、日本語教師としては【教育成果】の『目標達成度、教育成果の評価の仕組み等』について、まずは考えてみましょう。

ミミーは、日本人相手の非公式教育サービス、いわゆる『塾・予備校』でも仕事をしています。それで、職業病というか、常にお金を出している保護者や学習者のことばかりを考えています。生まれて初めて学習塾の教壇に立った新人の頃は「常に教室の後ろに保護者が並んで授業を見ていると思って授業しろ」なんて言われたものです。
当たり前ですよね?お金を払って通わせてくるのですから。
ですので、学習者、つまり、通塾生や予備校生の評価もいい加減ではすまされません。ここら辺、意外に思われる日本語学校の方もおられるようですが、塾や予備校でも生徒たちの成績は厳しくチェックしています。だからこそ、保護者面談等の際、きちんと生徒さんの学習状況を説明できるのです。…って、要は、塾や予備校でやっているオリジナルのテストや模擬試験の類の成績表を見せれば一発ということです。


では、日本語学校での成績のつけ方はどうでしょうか?

ミミーは、これまた職業病とでもいうべきか、日本語学校の、そのいい加減な成績評価に閉口し、常にきちんと評価するように言ってきました。また、成績表もいい加減なものを作るのではなく、日本人相手の成績表とまで行かずとも、きちんと日本語学習者の日本語能力がどの程度なのか、はっきりとわかる成績表を作るように言い続け、実際に作りました。
こんなこと言うと「そんなこと、どこの日本語学校でもやっている!」なんて声が聞こえてきそうですが、ミミーが耳にしてきたのはその逆、「そんな成績表、どこの日本語学校でもやっていない!」という声ばかりでした。
どちらが正しいか、なんてここで議論するつもりはありませんが、とにかくお金をもらって日本語教育を行っている以上、適当に成績をつけたり、いい加減な成績表を渡すなんてことは考えられないのです。なぜなら、お金をもらって授業をするのが仕事ではなく、日本語学習者に日本語能力をつけさせるのが仕事だからです。

もちろん、日本語能力とは言っても、言語知識を問うクイズ番組のような『日本語能力試験』に合格する能力ではありません。きちんとした『日本語能力』、つまり、読む、聞く、話す、書く、+やりとりの技能を、日本語学習者の中に、しっかりと技能を内在化させる、ということです。

では、どのように判定すればいいのでしょうか?
ここら辺、文化庁でも重い腰を上げて来たようです。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kokugo/kokugo_76/pdf/92877201_07.pdf

まず、日本語能力の判定基準をCEFRを参考にする、みたいなことを言っています。
なら、CEFRでは?
はっきりと言っています。このコモン・ユールピアン・フレイムワーク・オブ・リファレンスでは、言語知識の量を測るレベルではなく、その言語の実践力のレベルだと。
そう。
実践力を見るなら?
やはり、4技能+やりとりを評価するしかないでしょう。

そこで、文化庁も、以下のような評価方法を提示しています。

試験
パフォーマンス評価

さらに、【試験以外の評価方法】として、

自己評価
相互(ピア)評価
ポートフォリオ評価

です。

先ずは試験
4技能を見る時、いわゆる『受容』にあたる部分、『読む』『聞く』は、ペーパーテストで既に評価していることでしょう。『受容』に関しては、むしろ、自己評価なんぞあてになりません。
けど、『産出』はどのように評価すればいいでしょうか?
そこで登場するのがパフォーマンス評価です。
実はこれ、ずっと昔から言われ続けている評価方法なんです!

いわゆる教育改革の下、現在、日本人の一般の学校、小学校、中学校、高校では、新しい授業スタイルへ移行しています。俗に言われている『アクティブ・ラーニング』です。そこで注目されているのが、というより、既に導入されているのが『パフォーマンス評価』であり、その評価方法である『ルーブリック』です。
また、【試験以外の評価方法】にある『自己評価』『相互(ピア)評価』『ポートフォリオ評価』なんてのも、アクティブ・ラーニングでは既に導入されています(…されているはずです)。

ルーブリックに関しては、こちらをどうぞ!

今はいろいろと出回っているようですが、ちょっと前まで『ルーブリック』で検索すると、この本が最初にヒットしていました。出版が玉川大学になっていますが、この学園では、遥か昔からやってきた評価方法だそうです。

学習者がある行為(作業)を行う、その一連の行為を評価するのに『ルーブリック』を使います。




でもって、ルーブリックは、事前に学習者に開示してから行うのが原則です、…なんて書き始めると長くなるので、ここら辺は、次回の記事にでも書きたいと思います。

とりあえず、『うさぎ団』の一味は、この『パフォーマンス評価』と『ルーブリック』を、既に実戦投入しています。

…なぁんて書くと、そんなこと、ウチの日本語学校でもやってるよ!
なんて声も出てきそうですが、それならそれで結構なことなので、特にここでは、そうではない方への参考として記事を書いていきたいと思います。




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master mimi