日本人が大学受験をするには、入学試験というのを受けなければなりません。
その入学試験に英語(外国語)という教科があって、その中にライティングという科目があります。
大学受験、特に国公立大学を志望する受験生の間で伝説となっている参考書・問題集に、佐々木高政『和文英訳の修業』(昭和27年)というのがあります。
和文英訳の修業
佐々木 高政
文建書房
1981-01T


伝説の名作と呼ばれる参考書・問題集で、ミミーが受験生の頃にもお世話になりました。

この本は、題名のとおり正に『修業』であって、まず最初に数百の例文を暗記させられます。その暗記した基本文を元に、基本→標準→応用と、英作文づくりの修業が続きます。その血のにじむような努力をして英作文能力を身に着けていくようになっていて、これは現在の(予備校の)ライティングの常識にもなっています。
ただ、いくら『修業』しても、ネイティブからすれば不自然な作文になってしまうのは致し方ないことのようで、前置詞3年・冠詞5年とは、よく言ったものです。
そう!
日本人受験生たちは、英語で作文するために『修業』しているのです。
普通の英作文でさえ『修業』なのですから、英語で小論文を書くなど、どれほどの努力が必要か、火を見るより明らかでしょう。ここには『会話ができれば作文もできる』などという誤った認識が介在する余地など全くありません。もしこれが事実なら、母語も思考言語も日本語である日本人受験生が学ぶ、高校の国語表現や予備校の小論文授業など必要ないでしょう。

当然、日本語教育も同じです!

外国人留学生に大学入試に対応できる『日本語作文能力』を身に着けさせるには、やはり『修業』が必要であって、「日本語でコミュニケーションが取れるから作文も大丈夫」などという認識は誤っています。『みんなの日本語』だけでなく、様々な教科書の巻末に意味もなく例文集を載せてあるわけではありません。

語学は偏差値ではありません。
必要性モチベーションで、コミュニケーションが取れる会話力は身に着けることができます。しかし、こと大学入試となると、それへ向けた学習、いわゆる、『受験勉強』が必要となります。

留学生に日本語を教え、めきめき日本語が出来るようになる姿は嬉しいものです。
その嬉しさのあまり、自分が手塩にかけた留学生に過度の期待を持ってしまいます。
しかし、こと『入試問題』となると話は別なのです。

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master mimi