入管の締め付けが始まった頃、悪質な日本語学校を排除する規準が発表されました。
それは以下のとおりです。

●日本語能力レベルが『CEFR-A2』以上の卒業生が70%以上

これが発表された時、CEFRって何だよ!でした。

別にCEFRを知らなかったわけではありません。むしろ、知っていたからこそビビりました。
だって、CEFRって4技能を見る参照基準で、その能力を証明する外部検定試験がないですから!!
でもって、日本語能力試験(JLPT)で証明しようにも、『読む』と『聴く』で後は『言語知識』を問う試験ですから意味がありません。CEFRでもはっきり『この基準は言語知識を問うものではありません』と公言しているし、日本語能力試験がCEFRに対応していないことは、昨年度、日本語教師のための資格試験である『日本語教育能力試験』の出題でも証明されています。つまり、日本語能力試験はCEFRの証明になど使えないのです。

ところが、日本政府(法務省)は、この日本語能力試験のN4レベルを『CEFR-A2』だと決めました。

何というインチキ!
気でも狂ったのか!!

驚きました。
ここまで日本人って馬鹿なのか、と。
同じ日本人として、このような狂気の沙汰は恥ずかしいどころの話ではない、と。


けど、全体像が見えれば、それも納得しました。
こちらの22ページから書かれている内容をご覧ください。

要は、進学させれば問題ない、と言っているのです。

ご存じのとおり、外国人留学生が日本の大学・専門学校へ進学するには『日本語能力試験N2相当』が必要だとされているのです。だから『進学した留学生が70%以上いれば、抹消基準に引っかからないよ』となっています。だって『大学か専門学校に進学できると言うことは、N2相当の日本語力があるんでしょ?』ってことです。
これを見て「なぁんだ。大丈夫じゃないか!」と考えた日本語教師はいるはずです。

けど、こちらの4ページ(PDF6ページ)を見てください。

現状の課題として『② 学部研究生、別科(専ら日本語教育を行うもの以外)、専門学校を、実質的に進学のための予備教育課程として運用し、日本語能力が十分でない留学生を受入れている実態が懸念される』

とあります。それに対し、文部科学省の対応策に

・実質的に大学学部進学のための予備教育課程として運用されていないか、大学入学相当(日本語能力試験N2相当)の日本語能力を入学時に求めているかについて確認、法務省に通告
・専門学校についても所轄庁(都道府県)が同様の情報把握や地方出入国在留管理局への提供を行うよう、所轄庁に要請、あわせて確認の観点など必要なノウハウを提供
・実質的に大学学部進学のための予備教育課程として運用されていないか、大学入学相当(日本語能力試験N2相当)の日本語能力を入学時に求めているかについて確認、法務省に通告
・専門学校についても所轄庁(都道府県)が同様の情報把握や地方出入国在留管理局への提供を行う

とあります。
はい。
分かりやすく言えば、
N2相当の日本語能力が無いにもかかわらず外国人留学生を入学させ、本来の学問とは違う指導を行って大学学部へ進学させる、要は、予備校みたいなことをやっている大学や専門学校があるみたいだから、きちんと調査して対処する!』と言っています。

この業界に長くいる方なら、N2どころかN3も取れない留学生が大学・専門学校へ進学しているという現実をご存知かと思います。そして、それらの大学・専門学校は、日本社会の少子化の影響をモロに受けて定員割れを起こし、留学生を入学させて命を繋いでいる、言ってみれば『日本社会から不要であると判断された低レベルな教育機関』で、有志からは『ビザ取り大学』『ビザ取り専門 学校』と呼ばれいているのもご存じかと思います。
これらの教育機関が日本語学校卒業後の偽装留学生たちの受け入れ機関となっている、その具体例が東京福祉大学だ、と公にしました。


あきらかに生贄ですよね(笑)。
東京福祉大学だけでないことは、この業界に長くいるものからすれば明白な事実です。それを調査して対処するとなると、どんな対処かと考えるのが当然でしょう。
調査の結果、N2相当の日本語能力を持たない留学生を入学させている大学・専門学校がゴロゴロと出てきて明らかになれば、それは本来の教育活動から逸脱した営利活動(金儲け)と認めざるを得ず、行政側も『大学・専門学校への進学のため在留資格の期間更新をする際は、日本語能力試験N2の合格証明を提出すること!』と言ってきてもおかしくないでしょう。

そうなったらどうなりますか?

そもそも日本社会から不要と判断された存在は社会から消えていくのが常識です。クソ不味いラーメンを客に出すラーメン屋は潰れるのが常識で、従業員の生活のために無理やりクソ不味いラーメンを食わされたら、客はたまったもんじゃありません!!にも拘らず、こと大学やら専門学校やらは違うようです。不要な存在が消えることなくビザ目的の偽装留学生頼みで延命している状況は正常ではありません。日本人が進学してこない学校が、偽装留学生の受け入れ機関となっている状況は明らかに異常です。異常だから『進学したけりゃ、N2の証明を出せ』と言ってくる、そうなったら明らかに偽装留学生たちの行き場がなくなってしまいます。

そんな中で出されたのが、この『法務省告示校抹消基準』です!
日本語能力はCEFR-A2で良いと言っています。しかも、前述のとおり、CEFR-A2は日本語能力試験(JLPT)のN4でいいと言ってくれています。N4なんて日本で生活していれば自然と身につくレベルです。これがN3だったら偽装留学生たちも顔が青くなっていたでしょう。それが、N4で良いのです。
どういうことでしょうか?


以前の記事で書いたとおり、安倍内閣は約130万人の労働力不足のうち34万人を外国人労働者で賄うと公約し、選挙に勝ちました。それで、作られたのが『特定技能』です。そして、在留資格『特定技能』を取得するのに必要な日本語能力が『CEFR-A2』です。
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Wikipedia

『特定技能』が出来た時、移民政策への転換だのなんだのと言われましたが、法務省告示校に勤める人間の側からすれば違う側面が見えてきます。お分かりのとおり『偽装留学生たちに堂々と働ける機会を与えよう』というのです。
そう!
『特定技能』の在留資格を受けるために必要となる日本語能力が『CEFR-A2』であることを見れば、それがはっきりとするでしょう。
そうです!
これまでN2どころかN3すら取れないような偽装留学生たちを受け入れて延命して来た、定員割れFランク大学日本人学生皆無の専門学校への流れを止めて、特定技能に流そうという意図がうかがえます。
偽装留学生たちにとってはむしろその方が好都合です。不都合なのは、日本社会から不要であると判断された定員割れ大学や日本人学生が誰もいない専門学校の類です。無くなっても何ら日本社会に影響が出ない教育機関です。なくなってくれた方が、偽装留学生が合法的に働ける『特定技能』で健全な在留管理が出来るでしょう。ビクビク隠れて『週28時間を超える就労』をしなくても済むわけですから!
Fラン大学も日本人皆無専門学校も、生き残りたければ自ら教育機関としての質を上げれば良いだけのことです。ラーメンの味を超絶美味にすればいいだけのことです。
しかも!
特定技能の集まりが悪いからと、観光ビザで来日した外国人も『特定技能』を受けることができるようになりました。つまり、観光ビザで不法就労している連中も『特定技能』を受けて合法的に就労してくれ、ということです。

そこで、偽装留学生の受け入れ機関となっている『定員割れ大学』や『ビザ取り専門 学校』の類へ進学する際の在留資格期間更新には日本語能力試験N2以上の合格証明書を出せ』と言ってくるのではないかと考えていました。

ところが、以下のようになりました。


法務省告示校で6ヶ月以上の日本語教育を受ければOKだなんて、何も変わってないですよね。
つまり、バイト疲れで授業中ずっと居眠りしていようが、スマホいじって授業を聞いていまいが、6か月以上在学すれば大丈夫なんです(苦笑)。

法務省(入管)は、国外からの進学だけでなく、
日本国内から大学・専門学校へ進学する外国人留学生たちに、
日本留学試験の成績、或いは、
日本語能力試験(JLPT)N2以上の合格証明書
提出させるべきである!

日本語学校は、合格証明書を提出できない(日本語能力が要件を満たさない)留学生を帰国させるか『特定技能』へ流すかって、ただそれだけでしょ?日本語能力をつけさせるのが日本語学校の仕事であって、それは学校の責任だと考えるのは、ミミーだけでしょうか。


…って、こんな話もこのコロナ禍で消し飛んでしまいました。
人手不足なんてどこ吹く風。
コロナ失業が問題となり、日本語学校自体存続が危ぶまれています。在留資格が下りたところで、日本へ来られなきゃしょうがないんですから。
『コロナ禍』で本当に何もかもが消し飛んでしまったような感じがします。

来年4月、新入生ゼロの日本語学校がいくつ出てくるでしょうか。
偽装留学生を受け入れてきた悪質日本語学校も、ビザ取り大学・専門学校も、このコロナが大掃除してくれるってことでしょうか。


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master mimi