バ・イートも決まり、お小遣いを手にすることが出来るようになり、月での生活もだんだんと余裕が出てきました。
しかし、月本語学校での勉強はなかなかはかどりません。
毎日、毎日、カーンジの書き取りと小難しい文法の勉強ばかりで、なかなかコミュニケーション能力が見につきません。
語学は『知っている』(知識)量ではなく、『使える』(運用)力が大切だと先生は言っています。
しかし、話ばかりでうさぎたち学生たちが月本語を話す機会がありません。
酷いときには、1日、学校の机に向かってひと言も声を出さずに帰ることもありました。
そんな学校生活に疑問を持ったうさぎのクラスメイト達がとうとうしびれを切らして月本語学校の先生に抗議しました。
「先生!もっと会話の授業をやってください!」
きちんと筋の通った抗議をしたのですが、月本語学校の先生たちは、一向に会話の授業をしてくれません。
しまいには、
「会話の授業なんて、何をすればいいのよねぇ~」
などと口にして、大笑いする先生までいました。
これが語学学校なのかと、さすがのうさぎもだんだん疑問に思い始めたのです。
とうとう、怒りが爆発したクラスの学生が、月本語学校に退学する希望を伝え、学費を返すように抗議しました。
しかし、学校側は学費を返す気など全くありません。
それどころか、月本語学校が月世界での在留資格を取ってあげたのだから、退学するなら帰国するしかないと脅迫しました。
事実、恐ろしいことに、月本語学校では転校が認められていないのです!
これでは嫌になっても学校を変えることなどできません。それどころか、退学したら在留資格が取り消されるなんて、なんて理不尽なことをするのでしょうか!
月世界のプライムミニスターであるベア三蔵首相は、10億総活躍社会だとか、男女平等とか、留学生300万人計画とか言っていますが、現実はかくのごとしでした。
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