月本語学校に入学して、３ヶ月が経ちました。
しかし、うさぎの月本語能力は、カーンジの書き取りと文法ばかりできるようになり、肝心のコミュニケーションの能力は一向にあがりません。
けど、それは自分の頭が悪いからだと信じ、ひたすら先生の授業を受けました。

毎日毎日、カーンジの書き取りと文法の学習ばかりして、一向に月本語を使ったコミュニケーションの練習をしてくれません。
それなのに先生は

「教室では母国語禁止！月本語を使いなさい！」

と怖い顔で注意してきます。

月本語のコミュニケーションの練習もしていないのに、月本語を使うなんて無理です！
それに、教科書の「みなさんの月本語」には、会話の練習が、練習A～Cまで並んでいるのに、これをただみんなでコーラスするだけで、これを使ってコミュニケーションのペアワークやロールプレイなど、一向にやらせてくれません。

これでは、うさぎのコミュニケーション能力など向上するわけがありません。

いくら頭の悪いうさぎとはいえ、だんだんと疑問に思ってきました。
そこで、月本語教師に相談しました。

「はい。そのとおりです。うさぎさんのコミュニケーション能力が低いのは、うさぎさんの能力が低いせいです。これはプロである月本語教師の評価です。」
「やはり、そうですか…。」
「はい。月本語学校が悪いのではなく、うさぎさん自身のせいですよ。そもそもコミュニケーション能力は自分で磨くものですからね。」

完全に論理が破たんした月本語教師の話も、純粋な心を持ったうさぎにとってはありがたい先生からの指導でした。

「いっそのこと、部分時間労働でもやっていてはどうですか？」
「！？」
「バ・イートと言って、在留資格『留学』では出来ないことになっていますが、資格外活動を取得すれば、週２８時間、バ・イートが出来ますよ！そこでは、月の世界の人たちと一緒に働きますから、月本語のコミュニケーション力も向上するし、お金も稼げますよ！この月の世界の『トンキン』という街では、１ヶ月に30～40万円も稼げるのです！」

それはいい話だ！と思い、早速、バ・イートをやろうと考えました。
地球語を話す月本語学校のスタッフの、そんなインチキ話にもコロッとひっかかり、うさぎは喜々として『資格外活動』を申請に、ニュー・カーンへ行ったのでした。



つづく…


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