日本の大学入試における特別選抜では、絶対評価で行われます。

今回の動画では、前回にお話しました評価方法の内容と私立大学外国人入試全般のお話し、そして、志望校選びについてお話したいと思います。

まずはこちら。
大学入試での評価判定方法は2種類あります。
相対評価と絶対評価です。
相対評価とは『集団内での相対的な位置づけによって合格不合格を判定する方法』。
それに対し絶対評価とは『個人個人、1人ひとりの評価によって合格不合格を判定する方法』のことです、って、言葉で説明するとこの通りですが、いまいちピンと来ないと思いますので分かりやすく具体例を出してご説明します。

まずは相対評価。相対評価では試験を行います。そして、その試験結果を点数ごとに順位をつけて並べます。その順位の中でボーダーラインを決めます。そのボーダーラインより上の人を合格にします。これが相対評価による合格判定です。

それに対し絶対評価とどうでしょう。
絶対評価とは、点数の順位関係なしにひとりひとりチェックしていく評価方法です。
外国人入試で言うなら、出願書類の志望理由書の志望理由、小論文試験の解答内容、それらを大学のアドミッション・ポリシーと照らし合わせて判断します。また、書類上の問題、例えば日本語学校での出席率や学歴、経費支弁関係、在留資格などを確認します。そして、それらの内容を面接試験で確認し、1人ひとりの人物を判断していきます。
これが絶対評価です。
絶対評価とは、ひとりひとりの人物を見ますから、当然、日本語のコミュニケーション能力が重要になってきます。この日本語での面接1つで、一発合格・不合格が決まってしまうのです。
大抵の外国人入試の場合、これら相対評価と絶対評価を組み合わせて判定します。
また、留学生の場合、在留資格なども関係してくるため、通常、最終判定は絶対評価で行います。まぁ、どんなに成績が良くても、在留資格がおりなければ留学することはできませんから。

では、以上のお話をふまえて具体的な評価判定の例を見ていきましょう。
国公立大学、及び、難関大学では、最初に出願条件をクリアしなければなりません。この判定は、日本留学試験も英語の外部試験も〇点以上という条件ですので、相対評価だと言えるでしょう。
そして、出願条件をクリアしたら出願となり、その出願者が個別試験を受験します。個別試験の評価は大学によります。日本語の試験、と言っても上位大学では国語型がほとんどですが、この個別試験では、点数を基に相対評価が行われる大学が多いです、って、そうでなければ試験の意味がありません。それに対し、小論文試験等、学生個人の思考力・判断力・表現力を見るような試験では絶対評価が用いられます。そして、それらで絞った受験生に面接が行われ、最終的に絶対評価で判定されるのです。

これに対し、一般の私立大学では、出願後、個別試験を実施する大学、そのまま直接面接試験を行う大学等、様々な方法で選考されます。個別試験では、相対評価と絶対評価、それぞれ大学によって違いますが、一般大学の場合、倍率の高い大学・学部では相対評価が用いられ、面接試験の段階では既に合否が決まっている大学もあります。もちろん、面接試験を重視する大学では、試験結果も踏まえて絶対評価で判定しています。
また、それぞれ書類選考の場合。
出願できるか出来ないかで振り分けられ、その後、書類選考でも大学によって相対評価・絶対評価を使い分け、面接を行う大学では、その一人ひとりの人物を審査し、最終的に絶対評価で判定します。ただ、直接、受験生に会って話をしない入試ですから、特に日本語学校での出席率、在留資格といった、学力とか日本語力以前の部分にチェックが入りやすいです。
これが外国人入試の一般的な判定方法です。


では、これら評価判定の例を踏まえて、私立大学のランクごとの傾向と対策を見ていきましょう。
まず傾向ですが、難易度を基に大きく3つのグループに分けてご説明いたします。
1つ目は難関大学、2つめは一般大学、そして、3つ目は不人気大学です。
難関大学は、前回の動画でお話したとおりです。先ず出願制限があり、そして、その際、英語の外部試験が必要になります。
2つ目の一般大学には、出願制限がある大学と無い大学があり、共に英語の試験がない大学をここでは一般大学と呼んでいます。一般大学では、出願後の倍率が高倍率になりやすく、倍率の高い大学では、個人の日本語能力より、大学で受験した個別試験の成績が重視され合否判定される傾向があります。
3つ目の不人気大学ですが、出席率が良く、日本語さえ出来れば誰でも合格できる大学です。

ここでポイントをお話しします。実はこの3つのグループですが、このように、ここで大きく分かれてしまうのです。英語の試験が有るか無いかで全く違う入試、別世界の入試、最近流行の言葉で言うなら異次元の入試となるのです。
この点についてご説明いたします。
まz、こちらの2つの表をご覧ください。
左側が日本に在留する外国人留学生の国籍です。日本の近隣諸国、アジア地域からの留学生が多いです。
それに対して、右側、こちらは日本人の学生が海外へ留学する際の留学先の国々です。
日本人の留学先は、お隣の韓国が2位に入っていますが、上位にはアメリカとカナダ、イギリスが入っています。そう。英語を学びに留学する日本人学生が多いんですね。
そして、以下、フランス、ドイツ、オーストラリア、スペインなど、ヨーロッパオセアニア地域へと留学します。
これでお分かりいただけるかと思いますが、日本に留学して来た留学生たちの国へ留学する日本人学生は、ほとんどいないのです。
実は、この傾向は世界、どこの国でも同じで、お金があれば英語を学びに欧米圏へ留学するという留学生大勢います。日本にいる彼ら留学生たちの国でも同じで、それをわざわざ留学先に日本を選んだと言うことは、日本語を学びに来たのであって、英語を学びに留学して来たわけではないのです。つまり、彼らは、日本語学校で日本語を学んでいるのです。

海外から日本へ留学するには2つのルートがあります。
1つは、海外から直接日本の大学へ留学するルートです。
このルートでは、国費留学生の受け入れ、交換留学、また、単位互換制度などを設けるなど様々な方法で世界中から留学生を直接受け入れており、留学してくる留学生たちの国籍も様々です。

もう1つのルートが、大学などへ直接入学するのではなく、一度、日本国内の日本語学校へ入学し、そこで日本語を学んでから大学へ進学するルートです。
こちらのルートでは、まず日本語学校に入学し、CEFRのB1以上の日本語コミュニケーション能力を身につけ私費外国人留学生特別選抜を受験し、大学へ進学することになります。

こちらのルートでは、日本語学校が募集する国からの留学生たちが中心で、国籍に偏りがあります。しかも、留学先に日本を選んで日本語学校で日本語を学んでいますから、英語など2の次となり、大学側が、外国人入試に英語の試験を課した時点で、大きな差が出てしまうのです。
日本にいる留学生のうちかなりの留学生は英語が苦手で、進学先を選ぶ際、まず英語の試験があるか無いかで選びます。その傾向が、実は、ダイレクトに大学入試難易度に影響を与えてしまうのです。

外国人留学生の大学入試を、英語の試験の有無で見てみましょう。
左側を英語が必要なグループ、右側を英語が不要なグループとし、中央にどちらにも属さない独自入試を行う大学とします。

英語の試験を課す大学の難易度トップは、やはり不動の大学です。以下、前回の動画で紹介した大学が続きます。そして、一般大学の中でも、英語の試験を課す大学・学部はこちらのグループに属し、出願の段階で難易度が高くなってしまうのです。
出願の段階で受験生の数を絞りますから、出願後の試験では、絶対評価でひとりひとりの人物をじっくり判定する入試となっています。
それに対し右側では、日本人受験生の中でもそれなりに知名度のある学習院大学・明治学院大学の難易度が高くなり、続いて一般大学の難易度が続きます。
また、この一般大学でも、日本留学試験のみ認めている大学の入試は難易度が高く、日本留学試験も日本語能力試験もどちらでも出願を認めている大学の難易度は低くなります。ただ、留学生同士の情報伝達により、日本大学等は、両方認めていても出願者が多くなり、倍率的に難易度が高くなる傾向があります。
そして、その下に不人気大学が続きます。
こちらが英語の試験のないグループです。
そして、お話ししているように、英語が苦手な留学生が殺到するため、倍率が高くなる傾向があり、他のグループに比べて受験する留学生の国籍も偏りがちになります。
英語の試験があるグループの方は、比較的国籍の分散が見られますが、日本に在留している留学生の国籍比率に対応した分散といった程度です。
このような状況から、英語試験の有無によって、別世界の入試、異次元の入試となるのです。

尚、くどいようですが、特別選抜の方法は、その年の状況によって変わることがあるので、出願前には必ず調べるようにしてください。


それでは、実際にどのように対策をすればいいでしょうか?
時々、上位大学の方が簡単だとか偏見を抱くかたがいますが大学入試を馬鹿にしないでください。偉そうなこと言う前に、まず、どこの難関大学でもいいですから、出願条件をクリアしてみて下さい。
前述のとおり、難関大学では、まず出願できるということが大条件で、この段階で既に相対評価で合否判定されています。出願できるというだけで既に一次合格しているのです。この点をしっかりと認識しましょう。出願出来て初めてスタート地点に立てるのです。また、個別試験も、日本語能力試験と見間違えるような日本語型試験は行いません。日本人が受験する現代文、いわゆる国語型試験が行われ、その評価は相対評価となります。一方、小論文試験なら、その内容、思考力・判断力・表現力の絶対評価で判定されます。
そして、最後は面接で決まるのです。その面接試験では、暗記した質問の答えを答えるだけでは合格できませんから。
しっかりと日本語コミュニケーション能力を高めておきましょう。

そして、一般大学では、お話のとおり、先ず英語の試験が無いということで、全く別世界、別の入試となります。
英語の試験がない一般大学の入試では、漢字圏の留学生が有利となり、個別試験の点数で激しい争いが起きるのです。その結果、日本語の能力以前に、試験の成績が最重要となります。
高倍率の大学では、英語どころか日本語さえどうでも良く、試験の成績が重視されます。面接試験でも、参考書や動画でも公開されているような、面接で必ず聞かれる12の質問!とかいうやつの質問の答えを丸暗記するだけで十分に合格できるのです。
よって、まずは人気倍率と過去問題の傾向で、出願者自身に合っているかどうかを確認する必要があります。そして、可能であると判断したら、過去問題を研究し、その傾向に合わせた学習を進めるようにしましょう。

最後の不人気大学は、日本語さえ出来れば誰でも合格できますので、日本語を頑張りましょう。

それでは、まとめましょう。
志望校選びについてまとめましょう。

まず、英語が出来て日本留学試験で高スコアを出した留学生は、国公立大学、及び、難関大学を目指しましょう。
そして、英語が出来なくても、日本留学試験で高スコアを出した留学生は、上位大学の英語の試験がない大学を目指しましょう。
英語が出来ず、とりあえず日本留学試験を受験した留学生は、出願制限のない大学を探すようにしましょう。

以上が志望校選びのお勧めです。
そして、英語が出来ようが出来まいが、日本語能力試験しか受験していない留学生は、日本にある805校の大学の全3479学部の中から、日本語能力試験で出願できる大学を探すようにしましょう。
他の動画で言ってきましたが、日本の大学に進学するには日本留学試験が大切で、特別な場合に他の日本語検定試験で代用できるようになっています。ですので、日本留学試験を受験しなかった段階で、大学の外国人入試では不利になってしまうのです。





うさぎ団を応援してください!
下のランキングにクリックをお願いします。
人気 blog ランキング / にほんブログ村


master mimi bl