法務省告示校、いわゆる日本語学校に入学した外国人留学生の受験学年の過ごし方について、この動画では4月~6月までの対策をお話ししたいと思います。

まず、前回の動画でお見せしたこちらの表、その受験学年の4月から6月、ここですね。
この期間は、日本留学試験の勉強に全力を傾ける期間となります。

では、日本留学試験とはどんな試験でしょうか?
これはジャッソ、日本学生支援機構が行っている試験です。

外国人留学生として、日本の大学(学部)等に入学を希望する者について、
日本の大学等で必要とする日本語力及び基礎学力の評価を行うことを目的に実施する試験です。

まぁ、こちらはジャッソの説明まんまですが、要は、外国人留学生が日本の大学へ進学する際に受験する試験。ということです。

こちらの試験は、これまた前回お見せしたとおり、
この試験が出来る前、外国人留学生が日本の大学に進学するには、日本語能力試験と私費外国人留学生統一試験というのが必要でした。統一試験とは、基礎学力試験のみで、日本語の試験は日本語能力試験のような、一般の日本語検定で行っていました。それを、大学で生活していくのに必要な日本語能力、アカデミックジャパニーズに対応した日本語の試験を、基礎学力試験の私費外国人留学生統一試験に加えた形で日本留学試験が出来たのです。

ですので、日本留学試験の中身は、このように日本語の試験と基礎学力科目試験とに分けることができ、大学によっては、日本語のみの出願が可能となっているのです。

さて、最初にこの試験について、どこのサイトでも動画でもお話している事柄を説明します。
まず、日本語の試験で問われるのは①聴解、②聴読解、③読解となっています。また、これに④記述試験を加えて実施されます。
この①番から③番までの、聴解・聴読解・読解試験の3つ合わせて400点満点、そして、記述試験が50点満点、これらの試験が125分で行われるのです。

次に、基礎学力科目の試験ですが、まずは、総合科目、これは文系志望の学生が課される社会科系の試験になっています。配点は200点満点で、試験時間は80分となっています。

そして、数学、こちらは文系志望者向けのコース1と理系志望者向けのコース2の2種類が用意され、それを試験当日選択することになります。配点は、こちらも200点、試験時間は80分。

3つ目は理科、サイエンスですが、これは物理、化学、生物、それぞれ100点満点の試験のうち、2科目を選択し解答します。2科合わせて80分の試験となっています。
とまぁ、ここまではどこにでも書かれている内容です。

そこで、次からは、この動画での内容をご説明します。
まず、日本語の試験。
この試験は、俗にいう4技能5領域のうち、聞く力、読む力を判定します。これを受容と言います。
そして、記述試験、これは書く力を見るもので、産出と言います。
この4技能5領域について少しお話ししましょう。

日本語に限らず外国語を学習する際、必ず必要となるのが言語知識です。
そして、その言語知識を使えるようにする、つまり、その言語知識をつかってやりとりできるようになるには、4つの技能が必要です。
先ずは読む力、そして、聞く力。
これを受容と言って、要は読んで分かる技能、聞いて分かる技能のことを言います。
それにさらに2つ、話す力、書く力。これを産出と言って、自分の意志を相手に伝えるための技能となります。この4技能を使ってやりとりをする、これを4技能5領域と呼んでいます。

日本留学試験の日本語では、そのうちの、読む力、聞く力、書く力を測定します。しかも前述のとおり、一般的な日本語ではなく、大学で学問を学ぶために必要な日本語力を測る試験なのです。
そして、4技能5領域で足りない範囲を、入試では、かなりの大学が面接試験で判定しているのです。
それで、話を戻しますと、今のお話しのようなことから、これらの試験に向けて勉強するには、まずは1年目のコミュニケーション能力の養成が重要となってきます。
1年目にしっかりとコミュニケーション能力を身につけておけば、聴解、聴読解試験など問題はありません、と言いたいのですが、私の場合、1年生の年明けから対策を行っています。というのも、過去問題を解けばわかりますが、大学の講義を聞いて答えるような問題も出題され、そこで用いられる語彙等、身につけなければならない、大学生活で必要な語彙がたくさんあるからです。

そして、読解も、言語知識を詰め込んだだけで読めるようになる代物ではなく、やはり訓練、特に速読力の訓練と、聴解・聴読解同様、大学生活で必要となる日本語の語彙をたくさん身につけなければなりません。

また、最後の産出、書く力では、やはり制限時間に限りがあるため、特に難しい文法や語彙を使って書こうとするのではなく、簡単な表現を用いて、きちんと論述する力が必要となります。これらへ向けた対策が必要となるのです。
普段、私が行っているここら辺の対策授業については、他の動画で公開したいと思います。

さて、ここでポイント。
先ほどのお話で気づいたかもしれませんが、実は①~③で400点、④記述試験で50点と、中途半端な配点となっています。
というのも、この日本語の試験、実は、受容と産出、この赤い線で2つに分けているのです。
これについて、少しご説明します。

またまたこちらの画面、
先ほど留学試験でこの部分を判定するとお話しましたが、これに加え、大学入試では面接試験だけでなく、個別試験と合わせて、こちら、読む力と書く力も判定されます。よって、大学によっては、留学試験の記述試験の点数は判定材料とせず、個別試験で書く力を判定する大学があるのです。
また、一部の大学で日本語能力試験での出願を認めており、そのような大学では、日本語能力試験では判定されない記述試験の点数を除外することでバランスをとり、合否判定に使用するのです。
そのため、日本語の試験の中で、このように分けられているのです。

ついでに今、日本語能力試験の話が出ましたので、こちらのお話も少ししたいと思います。
この日本語能力試験を、4技能5領域に当てはめた場合、どうなるでしょうか?
そう。こちらのようになるのです。
4技能5領域では読む力と書く力を判定し、ほとんどが言語知識の量を測る検定試験となっています。
早い話が、言語知識の詰込みです。普段、日本人が使わないような表現さえ覚え、試験で解答しなければなりません。
そこで、次のような問題が生じます。
こちら、
実は日本語に限らず外国語を指導する際、2種類の大きな指導法がありますって、詳しくお話しするとたくさんあるのですが、ここでは以下の2つをお話します。

1つが文型シラバスの指導法、もう一つがCan-doシラバスの指導法です。

実は文型シラバスの指導法とは、文型、つまり文法を積み上げていく指導法、学習法になります。これは、どちらかというと知識重視の日本語能力試験に合格するのに向いている指導法だと言えるでしょう。
それに対し、Can‐doシラバスの指導法はコミュニケーション型、つまり、どちらかというと、大学進学や、日本留学試験対策に向いている指導法となります。

つまり、この2つの試験に向けて授業をしたり対策学習をしたりするには、それぞれ授業スタイルも対策方法も全く違ってくるのです。
これが日本語の先生たちを悩ませる難問です!


この動画をご覧になっている方が日本人ならご存じだと思いますが、実は、日本国内には、英語の資格試験として有名な実用英語技能検定、英検と言う試験があります。そして、海外留学を希望する日本人が受験を考えるTOEFLがあります。この2つの試験、日本人なら誰でもわかりますが、TOEFLとこの英検とでは、同じ英語の検定試験でも、全く違う試験で、対策方法、勉強方法が大きく違います。

それと同じで、日本留学試験と日本語能力試験も全く違う試験で、英語の試験同様、対策方法が大きく違ってしまうのです。って、それもそのはず、実は日本留学試験が出来る前、この試験は英語のTOEFLのモノマネ、パクリだと言っていたからです。ですから、この試験の正式名称がEJUと決まるまで、私はトッフル、ならぬ、トジェフルなんて冗談で呼んだりもしていました。

以上のように対策方法、勉強方法自体が違いますから、この4月~6月の時期、6月の留学試験を目指すか、7月はじめの日本語能力試験を目指すか、慎重に選ぶようにしましょう。
もちろん、両方とも受けて高スコアを出したり合格したりすればそれに越したことはありませんが、2匹の兎を追いかけて両方とも逃してしまうくらいなら、1つの試験に絞り、それに全力を尽くしてください。

そんなわけですので、次のように考えましょう。

法務省告示校、日本語学校を卒業した後の最終目標を就職と考えると、
法務省告示校から直接就職を考える人は日本語能力試験を目指しましょう、というより合格しましょう。
様々な批判はありますが、まだまだ日本語能力試験が就職に必要だというところはたくさんあります。
そして、大学へ進学を希望する学生は迷わず日本留学試験を受け、大学進学を目指しましょう。
これが4~6月の過ごし方、最大のポイントです。
ただ、大学進学後、就職するには、やはり日本語能力試験が必要だったりします。けど、その時は大学在学中に日本語能力試験を受験すればいいのです。前述したとおり、所詮は言語知識の暗記ですから、わざわざ高いお金を払って塾や日本語学校に行かなくても、EJUで大学に合格した留学生なら、問題集を解いたり、YouTubeのような動画を見たりして、自分で勉強しても十分に合格できるでしょう。
また、大学生活は4年ありますから、どうせなら日本語能力試験と言わず、Jテストなんてのも受けてみたら如何でしょうか?或いは、JLCT?それともSTBJ?TOPJ?NAT-TESTなんてどうですか?また、J-certサアトなんて受けてみても面白いかもしれません。どれも言語知識の暗記中心ですから、自分で学習できるでしょう。
いや、思い切って大学院に進学なんてのもありだと思います。

このように、大学進学を考えている留学生は、大学に進学すればいくらでもそのチャンスが広がりますので、今、慌てて日本語能力試験合格など考えず、まずは日本留学試験の日本語に全力を傾けて下さい。
受験学年の4月~6月は勝負の月です。
後で後悔しないよう、全力で走り抜けましょう!!




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