文化庁の『日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議』を全て傍聴しました。

 でもって、最後の第8回が終わってまとまった案が提出されるようですが、最後の最後まで『現職日本語教師が国家資格を取る際は、筆記試験ではなく研修で…』の意見が出ていました。
 これって、とっくに議論の終わった話だとばかり思っていたのですが…。

 はい。
 現職の日本語教師にとってこの国家資格を取るための経過措置は厳しいものでしょう。特に民間試験(日本語教育能力検定試験)に合格していない方は、研修ではなく筆記試験(少なくとも筆記試験2)を受けなければ国家資格を取れないということです。

 けど、冷静に考えて下さい。
 今のところ『類型化』で国家資格が必須となるのは、あくまでも類型『留学』認定機関に勤める日本語教師だけです。つまり、留学生を扱わない日本語学校では、国家資格は必須ではなく(今のところ)ただの努力目標というわけです。

 昨今の教育改革で、日本人の高校生が大学に進学するには、CEFR‐B1以上の英語力を求められることになりました。でもって、外国人留学生が日本の大学・専門学校に進学するには、CEFR‐B1以上の日本語力が求められます。
 だから、外国人留学生に日本語教育を行う類型『留学』認定機関として認定を受けるには、CEFR-B1以上の日本語力をつけられる日本語教育機関でなくてはなりません。

 ところが、これまで大学か専門学校に進学させれば、自動的にその留学生はCEFR‐B1以上の日本語力があると認められてしまい、実際には日本語能力試験のN2どころかN3、N4にすら合格できない留学生を、少子化で外国人留学生頼みの大学・専門学校に進学させることで、教育の質が低い日本語学校が生き延びてきました。少子化でとにかく学生が欲しく外国人頼みの大学や専門学校と、CEFR-B1以上の日本語力を学生につけさせられない質の低い日本語学校との、需要と供給がマッチしてきたのです。
 ここに問題があり、不法就労、不法滞在の温床であり、ここにメスが入ろうとしているのが『類型化』だと、ミミーは認識しています。

 つまり、
『いい加減、進学させるならちゃんとCEFR‐B1以上の日本語力をつけさせてね、それが出来なければ特定技能等を扱う日本語学校になってね、そっちなら、国家資格は努力目標ですよ』
 こんな意図を読み取ってしまいます。
 これって、ミミーの考えすぎでしょうか?

 さらに考えすぎを言うなら、これら『類型化』と『登録日本語教師』の設置の背景には文化庁と入管との駆け引きが存在するような気がしてなりません。
 入管は、出鱈目な日本語学校がたくさんあることを知っています。だから、それら悪質な日本語学校を浄化したい。だから、文化庁、ちゃんとやれよ!ってんで、文化庁は国家資格化を厳しくする。もしここで現職日本語教師の意見に妥協して、研修を受けるだけで国家資格を取れるようにしてしまったら?実力のない日本語教師まで国家資格を持つことになり、これまでと大して変わらないような気がします。
 そうなったら、入管は伝家の宝刀を使い、

『大学・専門学校へ進学するための在留資格期間更新を行う際は、日本留学試験EJU)の日本語200以上、或いは、日本語能力試験JLPT)N2以上と言った外部試験の証明を提出せよ!』

 …なんて言ってくるかもしれません。
 そんな駆け引きが、水面下でなされてるんじゃないでしょうか。
 有識者会議で、文化庁が『現職日本語教師が国家資格を取る際は、筆記試験ではなく研修で…』という意見をノラリクラリとかわしているような姿勢に、そんな意図を感じました。

 もし、現職日本語教師が国家資格を取る際、全て研修で良いとなったら、つまり、改革が骨抜きになったら、入管はそれくらいしないとこの腐りきった日本語教育機関を浄化することは無理と言うものです。

 とりあえず、法案はまだ提出されていないようなので、今後をしっかりと見ていきましょう。

【第211回国会 議案の一覧】
 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/kaiji211.htm




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master mimi