外国人留学生の大学進学指導を担当している日本語教師の方から『どんな学生が合格しますか?』と質問されます。
 その答えはごくごく当たり前のものです。

『あなたが大学の試験官なら、どんな学生を入学させたいですか?』

 そう。
 難しく考えないでください。
 自分ならどんな学生が欲しいか、それを考えれば簡単です。

 …って、これって当たり前なのですが、外国人留学生を判断する時、日本人受験生と決定的に違うケースがあります。
 それが『お金』です。
 最近の韓国人・中国人留学生はかなり裕福になっているようで、ミミィが新人の頃のように大学への入学金はおろか今いる日本語学校の学費支払いすら大変な苦学生が大勢いたころとは、かなり違っているようです。けど、やはり金銭的な苦学生はいますし、ベトナム、ミャンマーあたりの学生は未だに学費に困る苦学生が多いことでしょう。
 そんなお金に困るような学生を、大学や専門学校は入れたがるでしょうか?
 もちろん、苦学生は外国人留学生だけではなく日本人学生にもいます。けど、何かあった時、母国にいる日本人と、外国である日本にいる留学生とでは大きな差があります。
 そこらへん、どうしても越えられない外国人の壁があるんですよね。


 ミミィの本業は、日本人対象の受験屋さんです。でもって、外国人留学生への指導は、その延長から始めました。デビューした日本語学校が進学指導重視へと経営方針を変え、その際、現役の予備校講師でもあったミミィに白羽の矢がたちました。
 …で、今も昔も思うのは、日本語教師の方が学生の足を引っ張ってくれるんですよねぇ~(笑)。
 今も昔も、受験について何も知らない日本語教師の方が口にするのは『日本人の大学入試と外国人の大学入試は違う!』ってフレーズ。さすがに最近ではあまり聞かなくなりましたが、新人の頃は皆さん呪文のように唱えていました(笑)。
 その呪文を唱えながら留学生たちに誤った指導をして不合格へと落とす、どうしてそんなことをするんでしょうか、って、受験について、というよりも、日本社会について何も知らない、いわゆる世間知らずだからなんです。
 それが最初の質問にも現れていると思います。


 外国人入試では、かなりの進学先へ志望理由書を提出します。これって、今でいう総合型選抜、学校推薦型選抜でも同様で、以前なら特別選抜入試では常識でした。その特別選抜入試の枠で私費留学生対象の外国人入試を行うのですから、当然、日本人に対して行う指導と同様の指導をすれば合格できるんです。
 …あ、もちろん日本語能力は大事ですよ!中には、法務省・文科省が指定する『N2相当(以上)』を確認するため、日本語能力試験そっくりの試験を課す大学・専門学校もあって、その面だけ見れば日本人と外国人の入試は違います。
 けど、あくまでも『絶対評価』の特別選抜入試ですから、そのための指導が必要なんです。


 あなたは、なぜ日本語教師になったのですか?
 これまた上から目線ですが、日本語教師の方々に伺いたい。胸に手を当てて思い出してください、って。

 格好いいからですか?
 違うでしょ。
 教科書に書いてある例文をそのまま口にする外国人の相手をしたかったからですか?
 これも違うでしょ!
 生の外国人と接したい、接する仕事がしたい、こう考えたんじゃないでしょうか?


 面接官になったつもりで考えてください。
 機会があるなら、大学の先生に直接聞いてみて下さい。

『なぜこの大学(専門学校)を志望したのですか?』

 この質問には、ほぼ100%の受験生が答えを準備して面接に臨みます。
 これをお読みのあなた自身、受験生が何度も練習した返事を聞きたいですか?…って、定員割れで経営が苦しくてとにかく学生が欲しくて、どう見てもN2相当(以上)の日本語能力なんてない偽装留学生を合格させる大学・専門学校は、除外してください。特定技能が本格的に動き始めたら、こんな商品価値の低い大学・専門学校なんぞ次々と消えていきますから。
 確かに、日本語が下手だった自分の学生が、上手な日本語で答える姿を見るのは喜びでしょう。けど、一歩引いて考えてください。面接官も、答えを用意していることくらい知っています。その面接官は何を望んでいるでしょうか?

 受験生が全く予想していない質問をした時の答え、です!

 あらかじめ用意した答えを口にする受験生を相手にする時、その相手は、ただのテープレコーダー(古い・笑?)の音声を聞いているだけです。ロボットでも出来ます。けど、予想外の質問をされた時の受験生の姿、それがその受験生の『生の姿』なんです!

 あらかじめ用意した答えをおうむ返しに発話する受験生と、面接官の関係は、満員電車に乗り合わせた赤の他人。交差点を渡るときにすれ違う見ず知らずの他人と同じです。用意された返事を聞いたときの面接官の本音は『またかよ~』『何人目だ?おなじ話をするのは』です。表現が悪いですが、相手のことを生身の人間だとは見られません。
 けど、予想外の、答えを準備していなかった質問をした時に見せる受験生の反応は?
 正に、その受験生の『生の姿』『生身の人間、〇〇さん』なんです。

 ここら辺を日本人受験生に指導します。そして、外国人留学生にも指導します。
 用意してなかった質問の答えを、外国人という立場から答える、そこに生の外国人留学生、生の『〇〇人のひとり』が現れる。

 絶対評価の入試に、基準などありません。
 事実、過去のデータにこだわって進学指導しようものなら、失敗します。
 たとえ試験の成績が悪くても、たとえTOEFLの結果が悪くても、生の受験生を見て判断するんです。
 だから、成績が良い受験生でも一発アウト(不合格)なんてこともあるんです。

 生の外国人と接したくないですか?
 それは何も日本語教師だけではなく、生の外国人と接したい、接さざるを得ない人間が日本社会にもたくさんいるんです。

 なら、彼ら、留学生たちに身につけさせる日本語能力は?
 はい。
 日本語能力試験の成績じゃないんです。
 日本語の実践力、コミュニケーション能力なんです!!

 我々、うさぎ団は、CEFRを歓迎します!



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